あんちゃん

7月15日、7月22日にあんちゃん観劇してきました。

ストレートプレイ初主演。

やっぱ気持ちが違うよね。

コンサートは前日になっても実感ないなんて言ってるけど、あんちゃんは当日がとにかく待ち遠しくて、期待と緊張で観る前から胸がいっぱいだった。

観ていて思ったのは、北山くんだけじゃなく出演者の方の熱量が凄い。圧倒されっぱなしだった。

観てる人の気持ちあんなに揺さぶって考えさせられて、お芝居って凄いなって思った。

冗談抜きに私がお芝居やりたくなった。

実は愛の歌を唄おう観たときもあまりの感動に「わたしミュージカル女優になる!!!」って思ったんだけど、それは無理な話だから、舞台の裏方の仕事とかシアターオーブのスタッフ募集のサイトとかひたすら見てたな。懐かしい…笑

そんな単純頭な私だけど、あんちゃん観て、北山くん演じる凌を観て、人の心動かすって凄いことなんだなって改めて感じた。

それで今回、私の生きてるか不明だった名義が思わぬ力発揮して、演者さんの細かい表情が観れる席で観劇できて、本当にご褒美のような二日間だった。

初めて観劇した日は、近さによる緊張と手汗、そして生唾が止まらない。

でも緊張してるのって私だけじゃないんだなって、始まる前の空気感で思った。開演が近づくにつれて物音が少なくなって、シーンと静まり返って、みんなが同じ気持ちで始まりを待ってる。あの空気感が無性に好き。

そして開演時間ぴったりにビデオテープが回るような音、激しい雨の音。暗転に浮かび上がる北山くんのシルエット。

明るくなった舞台に立つ俯く北山くん、ではなく凌がもうそこにいた。

お父さんが帰ってきて、激しく言い合う姉たちの会話をひたすら聞いてる。たまに話してる人の顔見たり、俯いたり。ずっと眉間に皺が寄ってる。胸元見ると息してるのが分かって、その息遣いでさえ凌。ハッとしたり息を飲んだり。力が入ったり緩んだりする指先までもが凌だった。

当たり前かもしれないけど、2時間の舞台の間何もしてない北山くんっていうのがなくて。台詞がないときでも、細かい表情の演技が凄い。その表情に、息を飲むってこういうことかと、舞台中何度も味わった。

 

シーンが切り替わって、暗転の中、袖を伸ばしてドアを開ける凌。明るくなった途端、サッと椅子に座ってゲーム始める。さっきまで30歳の凌だったはずなのに、一瞬で、本当に一瞬で、小学生の凌になる。この切り替えの速さが凄い。

「なにとってんのぉ」

「こいつたおしてからぁ」

「え〜おとうとがいい」

「あんちゃん!」

あぁ、頭の中で凌ちゃんが笑ってる。お母さんに抱きしめられて、膝ついて弾ける笑顔で笑ってる。

母音が強くて、間延びした声の凌ちゃん。可愛すぎた。

言うまでもなく私のショタ心が爆発した(ドッカーン)

 

オープニング
暗転でビデオカメラ持つ凌。スクリーンに「凌 北山宏光」って出たの確認して走り出す。
ストレートプレイ初観劇の私は、オープニングがあることにびっくりだった。「凌 北山宏光」の文字に感動したし、音楽かっこよすぎて鳥肌たった。
あとこれは予想なんだけど、OPで映る映像(煙突、工場、横断歩道、街)って、凌の自主制作映画の映像だったりする?ベンガルさんの指の隙間から見えた文字が「STREET LIFE」だったんだけど… そんな気がしてならない。

 
不登校シーン
私、このシーンが一番胸に刺さったかも。
実は私のクラスに不登校気味の子がいるんだけど、その子と重なってしまって、自分でもびっくりするくらい泣いた。最初は、芹沢先生が自分に重なって涙出たんだけど、すぐに凌の辛くてどうしようもない気持ち、そうするしかない気持ちがわかって、もっと辛くなって涙出た。状況は違えど、私はその子にちゃんと向き合えていたかなって考えさせられた。
見る人によっては泣ける、共感する部分があるって北山くん言ってたけど、思わぬところで共感してちょっとびっくりした。ここから私の感情移入凄まじかったな。嗚咽を堪えるのが大変だった。

 

九九のシーン
そんなわけで序盤から泣きまくってた私だけど、涙の中にも笑いありで、九九のシーンはかなり笑えた。いつのまにか8の段から7の段に変わるお母さん、8×9=8125〜の巨大すぎる数字、めげない芹沢先生、強すぎる姉たち、ランドセル振り回す准姉、ソファに仁王立ちになる准姉、やんちゃ座りする准姉(准姉好きw)、甘やかしすぎといわれる凌ちゃん、ランドセルと帽子机の下にしまう凌ちゃん、必死でドア閉める凌ちゃん(かわいい///)
姉たちに逆らえない凌ちゃんの末っ子感たまらなく可愛かったなぁ。不憫可愛いという感情を初めて味わった。しばらくは末っ子長男という響きだけでニヤけられる自信ある。


お母さんにも九九言ってもらおうってなって、ゲームの手止めて後ろ気にする凌ちゃん、お酒飲みすぎて気持ち悪くなったお母さんを心配してドアからこっそり覗く凌ちゃん。お母さん気にかける姿が小学生らしくて、胸がギュウウウウンってなったなぁ。

でも、お母さんと姉たちいなくなって、芹沢先生と二人きりになったとき、「不幸になったらどうするの」って言った凌の言葉が衝撃的で。「そんなにパパに会いたいなら先生も一緒に探す」に対して「会いたくない」って気持ちと反対のこといった凌が悲しくて。さっきまで笑ってたのに一瞬で涙こぼれた。幼い心と体でどれだけの想い、葛藤抱えてるんだって思った。

 

バイト先にくるお父さん
「来るとき連絡してって言ったじゃん。なんでいつも急なんだよ。」って言いながらも内心は少し嬉しいのかな。
紙袋から雑にビデオ取り出す凌がおもしろかったんだけど、あの雑さは突然きた父への怒りを表してるの?何なの?w 性格?w 「男らしいのか?」って突っ込まれてる。

そしてビデオいじってるときの下向いた顔が綺麗だったのが忘れられない。前列ゆえステージを見上げる体勢だったんだけど、上から覆い被さられたらこんな感じなのかなぁ…と一人ドキドキしてた/// ご馳走様でした。


「バイト先紹介してほしい。60でも働けるか聞いといて」って頼まれて何とも言えない表情。一人暮らしとかバイト暮らしとか父の今ある状況を知るたび、思っていたのと違っていたのか複雑な表情する凌。
 

お父さん帰りがけに呼び止める凌。
「これ俺が録った映画」

「あんちゃん映画撮るのか」

「自主だけどね」
「小さな町の映画祭で初めてノミネートされた。それがダメだったらきっぱり諦める。」
「受賞したら?」

「母さんには報告するかな」

凌にとってのお母さんの存在、大きいんだよね。でも、凌にとって大きいだけじゃなく、お母さんにとっても大きい。少しだけ支配されてる感じもした。


DVD受け取って帰ろうとするお父さんをまた呼び止める。
YouTubeに他のもアップしてあるから。俺の名前で検索してみて。」
「パソコンないんだよ」
「じゃあいいよ、それ見てくれれば」
ふって下向いて笑う。このときの優しい笑顔印象的だったなぁ。お父さんのこと、もう怒ってないじゃん、嫌いじゃないじゃんってこのとき思った。


「あんちゃん、こっちはいけるのか?」
「まぁ、そんな強くないけど」
「そっか、じゃあ今度お母さんと3人で飲もうな」
「…今日は!おれもうバイトあがるし!」

「えっ、いいよ」

「天狗って店で待ってて!」

 

天狗

「何見てるの?」
「あんちゃんの映画だよ」
「音聞こえないな」

「こんなうるさいとこじゃしょうがないよ」
「大丈夫なの、通信量とか」
「通信量?」「パケット放題?」
「全部店員さんにやってもらってるからなぁ」
「とりあえず切ったら?」
「いや、あと2.3分だから」
「あ、ビールでいいか?」

注いでもらったあとお父さんへも注ぐ凌。

口に含んでぎゅっとしてから飲むのがたまらなかった。ぷっくりほっぺの膨らみが出て、あぁあの膨らみ存在するんだなって。一口飲んだらちっちゃくプハァ♡ 


「24年ぶりって言ったけどさ、俺たち22年ぶりだよね」

「え、あぁ、そうだったっけ?」

「覚えてないの?」

誤魔化すお父さんを不審がる凌。2回目見たときは、あぁ覚えてないんだなって分かったけど、思い出したくても思い出せないって辛すぎる。

 

小学生シーン
部屋で暗転の中、ランドセルと帽子装着。
ランドセルのベルトの部分両手で持つの可愛い。
「りょう!」と芹沢先生に声かけられて渋々ついていく。
「入るときは?」

「しつれいします」このひらがな一音ずつ発する感じ可愛かった。
終始ムスッとしてる。
「率直にどうだった?」
「つまんなかったぁ」(言い方キュン///)
「うそだろ?」
獲物狙うカメレオンみたいに凌ちゃんの顔覗き込む芹沢先生。これ最初見たときより2回目の方がしつこさと変顔さ増してて笑い止まらなかったw「ちかっ」て思わず言っちゃう凌ちゃん。


「やりたくない」

「やだよちくわぶなんて」

ちくわぶなんてきらいだ」(また一音ずつ力込めた言い方かわいい)
「先生も嫌いだ。味がないし、だいたいちくわぶのぶってなんだ?部活のぶか?」
「おふのふだよぉ」←この言い方くそ可愛かった!!!!!!!ナンバーワン!!!!!
「味しないけど、唯一無二の存在。それってすっごく個性だと思いませんかぁ?!りょうくんもそうです!」
「やりたくない!!!!!」

イヤイヤ期の子どものように「やりたくない」を繰り返す凌ちゃん。

ごめんね、このシーンは可愛いの感情しか生まれなかった。

そして何度も言うけど、ひらがな一音ずつ力こめる凌ちゃんの言い方がほんとに小学生みたいでやばかった可愛かった助けてくれ(語彙力)


どうしてもやりたくない凌に先生が、パパに会いたいだろってお父さんが働いてる場所の住所書いてある紙渡すんだけど、取ろうとすると引っ込められる。芹沢先生のウザさ、しつこさって、憎めないし、凌を思うがゆえなんだけど、少し空回りしてて凌にちゃんと伝わってない感じある。でも劇中何度も私は芹沢先生のような先生になりたいって思った。思い返すと、芹沢先生の言動って全部まっすぐで愛がいっぱいなんだよ。

 

学芸会練習シーン
終始感情込めずに棒読み、可愛い。
「僕はそうは思いませぇーーん」ちくわぶの第一声、語尾長すぎて会場中爆笑w
「はんぺんちゃん!」

「こんぶくん!」

呼んだ後のムス顔が可愛い。
「はんぺんちーずはたしかにおいしい!でもあなたはおでんとしてもじゅうぶんにやっていけるはずです!」

ちゃんと台詞覚えてるの偉くない?(モンペ)


なりきるお母さんのお面付け替えろって芹沢先生を指図する凌。これ初めて観劇したときはやってなかったから後々増えたアドリブなんだね。

 

途中まで嫌々ながらも台詞言ってた凌ちゃんだけど急に「やりたくない」と部屋に戻る。ドアのところでしょんぼり体育座り。
「本番近づいてナーバスになっちゃったのかしら」っていうお母さんだけど、そうじゃなくてやりながらお父さんが何度もチラついて辛かったんだろうな。
ボール出して上に投げる凌ちゃん。

2回目観たとき、お父さんに教わった持ち方してるんだなぁって気づいて涙腺崩壊。台詞ないんだけど、ボール見つめる目、教わった持ち方する指先から切なさが伝わってきた。

 
「実はお話ししたいことがありまして。どこから話していいやら。」って言いづらそうに話切り出す芹沢先生。
ガチャっとドアが開く音。
「パパんとこいきたい」
「パパに会った」
先生が慌てて順を追って話し出す。
「なんてことしてくれたんですか。私もお姉ちゃんたちもやっとあの人のこと忘れてきたのに。凌ちゃんも…」

最後の凌ちゃんも…だけ自信なさそうに言うお母さん。凌が一番寂しがってて、お父さん帰ってくるって信じてることにお母さんも気づいてたんだろうな。
凌ちゃんの手握りながら「パパなんて言ってたの?」
「ママに了解もらってこいって。了解くれたらパパんとここれるって」
「了解するわけないじゃない」
「行かないでぇ」

泣き崩れるお母さんを初めて見たであろう凌の顔が忘れられない。誰でも親が泣く姿見るのは辛いよね。凌はぐって耐えるように、顔これでもかってくらいくしゃくしゃにして泣いてた。ほんとに泣いてた。決意したように「いかないよ、どこにも行かないから」ってボールしまう姿はもう見ていられなかった。

 

母と姉たちのシーン

快を旦那に預けてきた冴。
お煎餅食べながら浮気の話。
会社でチーフおろされた准の話。
もう1人産んでおけばよかったという母。

知らないところでそれぞれが色んな想い抱えてる。家族だけど全部知ってるわけじゃない。言いにくいこと、秘密にしたいこと、家族でもある。心配されたくないから言わないとか、強がって言わないとか、そういう気持ちも家族だからこそ強いのかも。何気ないシーンだったけど、あぁ私も…私の家族もそうだなって思った。

 

謝りにくる父。背中押す凌。
「申し訳なかった」の一点張り。見てる側からしても理由が知りたくてしょうがない。

冴「1つ聞きたいことがある。どうして家族を捨てたの?私は快を捨てられないから。理解ができない。」

准「お母さんが借金を背負うことになるとは思わなかった?」

父「申し訳なかった」

母「私にも責任ある。ごめんね」

凌「父さんは俺たちのことちゃんと見てたんだよ」

ここから感情同士のぶつかり合い。

冴「キモいんだけど。盗撮でしかないんだよ。私のあのときの気持ち知らないでしょ。ほんとは陸上部に入りたかったけど、学校終わったら買い物行って料理作らなきゃいけなかったから入れなかった。一生懸命走ってたのは、自分より遅かった子が陸上部に入って速くなってたのが悔しかったから!必死でついていったの!」

准「私がバザーで値切らなかったのは少しでも家計を助けたかったから。結局200円にしかならなかったけど。そのとき思ったの。もうお金で苦労したくないって。だから一生懸命勉強していい大学入って就職した。」

感情剥き出しの姉たちの言葉に、涙が止まらなくなったんだけど、静かに、少し笑いながらゆっくり話し出した凌の言葉に、一瞬で涙が止まった。

凌「偽善だろ。いいこと教えてやるよ。人の為って書いて偽りって読むんだよ。」
「なんで高校行けって言われたことはしないで、出て行くなってやめろって言われたことはするんだよ。」
このときの私、凌の言葉を受け止めるのに必死で、シーンが終わったときには椅子に背中べたーっとくっつけて呆然としてた。頭ガツンと殴られたような衝撃だった。

でも強い言葉なはずなのに、声は(心は)泣いてて、言葉には出さなくても家族のことずっとちゃんと見てたのは凌なんだよね。

 暗転になった瞬間、北山くん目元拭っててそのあと何度も鼻すすってて、このシーンほんとに泣いてた。

 


舞台終わってすぐは、正直ここで終わりなんだって思った。

だけどそれは、私がもっと凌を、凌の家族を見ていたかったからだと思う。

もう一回見たいと思っても、その表情その仕草ってその一瞬だけで、テレビみたいに巻き戻しできない。舞台って儚いよね。

 

これから先私が生きていく中で、凌のことを思い出す瞬間てあると思う。その瞬間の気持ち、忘れたくない。

息を飲む感覚とか、終わった後の言葉にできない気持ちとか、沢山泣いたこととか、共感した部分も忘れたくない。

 

もしかしたら私は恵まれてるのかもしれないって、観劇してちょっとたってから思った。

幼い頃、沢山遊んでくれた父。

何があっても味方だよって言ってくれた母。

いけないことしたらちゃんと叱ってくれた両親。

私、家族が大好きなんだって気づいた。

家族のありがたみ、愛される幸せを凄く感じた。

 

素敵な作品に出会わせてくれてありがとう。

また北山くんの舞台を観劇できるのを楽しみにしてます。